外反母趾ってどういう病気?
外反母趾になると足の親指が外側に向かって「くの字」に変形し、親指の内側が突出します。変形以外にも、関節の炎症による腫れや痛みを伴う点も特徴です。突出した親指の内側が炎症を起こし腫れた状態は、「バニオン」や「皮下滑液包炎」とも呼ばれ、親指の内側を通る知覚神経が圧迫されてしびれを生じることもあります。
症状が進行した場合、いままで履き心地のよかった靴でも、履いて歩くと違和感を持つようになります。さらに進行すると歩くだけでも痛みを感じ、日常生活に支障をきたすこともあるため注意しましょう。痛みが強い場合、炎症が悪化している可能性もあるため医療機関に相談することをおすすめします。
また外反母趾を放置すると、足にタコができて裏側が痛くなることもあります。タコができる箇所は、足の人差し指や小指のつけ根の裏側です。外反母趾の場合、親指で蹴りだす力が弱いため、それを足の人差し指や小指が補うことで、足裏に負担がかかりタコができます。
どうして外反母趾になるの?
外反母趾は日頃から履いている靴にも影響を受けます。足に合わない靴を履くと、外反母趾になりやすいため変更したほうがよいでしょう。ハイヒールやパンプスなどのかかとが高い靴や、先が細い靴を履く習慣がある場合も外反母趾になりやすいといわれています。
また女性はとくに外反母趾になりやすいといわれていますが、その理由は男性よりも関節が柔らかかったり、筋力が弱かったりするためと考えられます。その他にも次に示す足の形態的な特徴があると、外反母趾になりやすいため注意しましょう。
・足の親指が他の指の中で一番長い場合
・足の幅が広い開張足や偏平足気味の場合
・足の親指のつけ根の関節駕丸い形をしている場合
足の形は遺伝することもあるため、親が外反母趾の場合は、その子どもは外反母趾になりやすいと考えられます。足の形に外反母趾になりやすい特徴がみられる場合は、次項の治し方や予防法も参考にしてください。
外反母趾の治し方と予防法とは?
外反母趾を治す方法として考えられる手段は、保存療法や手術療法です。たとえば足のアーチ構造が崩れて偏平足や開帳足になっている場合は、それらを矯正する保存療法が提案されることがあります。具体的には、足底版(インソール)を靴底に装着して崩れたアーチを支えることで足を矯正します。
外反母趾がかなり進行して保存療法では改善が期待できない場合は、手術療法が提案されることもあります。外反母趾の手術方法は100種類にも登るといわれています。代表的な手術法は、軟部組織矯正術や中足骨骨切り術などの術式です。
近年は日帰りでも手術を受けられるため、中度や軽度の外反母趾でも手術が施される場合もあります。
以上は外反母趾の治療法ですが、症状を悪化させないためには予防に努めることも大切です。たとえば外反母趾になりやすい足の形状をしている場合は、ハイヒールや窮屈な靴を履く時間を短くしたり、外反母趾になりにくい靴を選んだりすることが大切です。外反母趾になりにくい靴を選ぶ場合は、次の点に気を付けるとよいでしょう。
・つま先のスペースが広い靴を選ぶ
・ヒールの高さが3cm以内の靴を選ぶ
適切な靴選び以外にも、足の裏の筋肉を鍛えたり、足の指同士を広げる運動を行ったりすることも効果的です。
さいごに
仕事の都合上、足のつま先が細い革靴やハイヒール、パンプスを履く必要がある方は、とくに予防に努めるとよいでしょう。たとえば、日常的にマッサージや足指の体操を実施することで外反母趾の予防や改善が期待できます。足指の体操をする場合は、指同士を開いたり、前後に動かしたりすると効果的です。
外反母趾の炎症や痛みを放置すると症状が進行して歩くたびに激しい痛みに襲われたり、手術が必要になったりするため注意しましょう。まずは可能な限り、自分の足にあった靴を選び、足先へのストレスを軽減させることが大切です。そのうえで、足のケアにも努めると外反母趾を防げます。