「ぐきりっ」と突然腰に激痛が走るぎっくり腰。専門的には急性腰痛と呼ばれています。
いつ、どのようなときに起こりやすいのでしょうか。注意すべきポイントを点検してみましょう。
職場における腰痛の要因は4つ
厚生労働省によると、「4日以上の休業を要する職業性疾病」のうち、およそ6割を占めているのが腰痛です。
職場における腰痛は、運搬業や建設業といった特定の業種だけではなく、多くの業種や作業にみられるようです。では、どのような要因に気をつければいいのでしょうか。厚生労働省が公表している『職場における腰痛予防対策指針』をもとにリスクを洗い出してみましょう。
『職場における腰痛予防対策指針』には、腰痛の発生要因として次の4つが挙げられています。
●動作要因(腰に過度な負担を与える動作)
●環境要因(振動・温度・床や階段の状態など)
●個人的要因(年齢・筋力・過去の病気など)
●心理的要因(対人ストレスなど)
たとえば、温度が低い環境で作業をすることは、血管が収縮したり、筋肉が緊張したりして、腰痛を悪化・発生させやすいと指摘しています。また、湿度が高い環境でも、疲労しやすく腰痛のリスクを上げるとしています。気温の低い冬や、多湿になる季節の変わり目には特に注意が必要です。
さらに、『職場における腰痛予防対策指針』が指摘しているのは心理的な要因です。
対人関係の悪化や、仕事のやりがいの低下といったストレスが腰痛を悪化・発生させる可能性があるようです。過去に腰痛になったことがある人は、繰り返し腰痛を発生させてしまう可能性が高いので、体調面での管理だけではなく、メンタル面の管理も重要です。
天気が崩れると痛む「気象病」の関連も
『職場における腰痛予防対策指針』でも、低温・多湿の環境が腰痛のリスクを上げてしまうことに触れていますが、実際に天気と腰の痛みや体調の程度が関連していると感じる人は多いようです。
一般社団法人日本気圧メディカル協会によると、天候や季節の変化が体調と関係すると感じている人が8割近くで、実際に体験したことがある人も7割近くに上っています。
このような天気に関連した痛みは「気象病」とか「天気痛」などと呼ばれています。
気象病は気圧や気温が急激に変化しているときに起こりやすいとされているため、たとえば秋の「台風」、冬の「爆弾低気圧」が近づいてくるときには注意が必要です。
また、天候が崩れやすい「梅雨」や「秋雨」といった季節の変わり目にも気象病は起こりやすくなっています。実際、悪天候が続いた2017年の夏には、「気象病」の検索数が急上昇しました。
低温・多湿あるいは天候の急激な変化があるような状況では、腰痛に対してより一層の注意を払うように心がけましょう。
編集部からのひと言
良く知られているように、重たい荷物を持ち上げたり、中腰でかがんだりする動作が腰痛を発祥する直接の要因になるケースが多いようです。
重たいものを持ち上げるときには膝を突き、体を密着させる。
なるべく中腰の体勢はさけ、かがむときには片足を一段高い踏み台の上に置く。
日常生活の小さな動作の姿勢に注意を払うことが大切です。